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[外科的療法] 婦人科疾患の外科的治療法には、大きく分けて 全摘術と保存的手術 の二つがあります。良性疾患の場合は通常、「挙児希望の有無」、つまり今後子供を産む予定があるか、ということが、どちらの術式を選ぶかのもっとも重要な判断基準にされています。 しかし、私たちの子宮は子供を産むためだけにあるのでしょうか? 子供を産む予定がなかったら、摘出してしまってもいいのでしょうか? 「生まれてきたときのままのからだでいたい」という希望を持つ人もきっといることでしょう。やはり本人の「子宮温存希望の有無」こそが、術式選択の判断基準とされるべきではないでしょうか。「もう子供をつくるつもりはないんでしょう?」などという一言に押切られずに、本当に自分が求める治療を選択しましょう。但し、「五体満足、臓器がすべて揃っていてこそ完全なからだ」という考え方に縛られるのもどうかと思います。子宮がなくても健康な生活を営むことはできます。自分にとっての健康とは何なのか、それも考えて決めることが大切です。 なお、一般に私たちが「手術」と呼ぶ、からだの組織にメスを入れるような外科的な手術のほかに、最近は
以下、外科的治療とUAEおよびFUSについて、子宮筋腫・腺筋症の場合と子宮内膜症の場合に分けて説明します。 |
<子宮筋腫・腺筋症の外科的治療法とUAE・FUS> |
腺筋症核出術(子宮筋層切除術) |
子宮全摘術 |
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子宮動脈塞栓療法 UAE(Uterine Artery Embolization)ともいい、IVR(血管内手術)の一種。足の付け根を小さく切開して動脈に細い管(カテーテル)を通し、そこから細かい粒子状の物質を注入して筋腫に栄養を補給している子宮動脈を塞ぎ、筋腫を兵糧攻めにして縮小するのを待つ、という治療法です。日本では1990年代後半から行なわれるようになった術式で、主に放射線科の医師が行なっています。最近では子宮腺筋症の治療に用いる施設も出てきています。 この方法で筋腫が完全に消滅することはありません(時に子宮内膜側に近い筋腫の場合は内腔に押し出されて、筋腫分娩の形で体外に排出されることもある)が、およそ8〜9割のケースで、ある程度サイズが縮小し、過多月経や貧血などの症状が改善されるといわれています。ホルモン療法と違い、一度縮小した筋腫が再度大きくなることはなく、多発性の筋腫でも原則的に一度の施術で効果を得ることができ、再発の可能性は低いといわれます。しかし、すべての筋腫が子宮動脈のみから栄養を得ているわけではなく、筋腫の位置によっては卵巣や膀胱の動脈から血管が伸びていることもあるので、そういう場合は期待した効果が得られないこともあります。また、逆に卵巣への血流が阻害されて、卵巣機能が低下するという合併症も見られます(特に45歳以上では10%を超す割合で卵巣機能不全が報告されています)。子宮腺筋症の場合は、一定期間は子宮サイズの縮小、過多月経などの症状の改善が期待できますが、再発することも多く、まだ発展途上の治療法のようです。 この術式にはまだ保険適応が認められておらず、実際に行なっている医療施設も限られています。合併症などが起こった場合の対応や術後のフォローアップは婦人科で行なうことが望ましいので、なるべく放射線科と婦人科が連携して治療にあたっている医療機関を選びましょう。また、日本では実施されるようになってまだ日が浅いため、長期にわたる予後の情報が乏しく、また、術後の妊娠も症例が少なくて、その安全性が明らかではないため、絶対に核出が不可能な例を除いては妊娠希望者には行なわない、という施設が多いようです。 |
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集束超音波療法 FUS(Focused Ultrasound Surgery)ともいいます。虫眼鏡で日光を1点に集める要領で、超音波を筋腫に集中照射して、内部の温度を60〜90度にして筋腫組織を焼いてしまうという治療法です。日本には2002年から導入されたばかりで、世界的にもまだ施行例の少ない、歴史の浅い治療法です。雑誌やテレビなどでセンセーショナルに取り上げられたため、多くの人が関心を持っているようですが、まだ治療データが十分揃っているとは言えず、術後の妊娠への影響、長期的な経過、再発の割合など、まだまだ不確定の要素が多いというのが実態だと思います。子宮腺筋症は適応になりません。 UAE同様からだにメスが入ることがなく、UAEよりも術後の痛みも少ないため、入院の必要がないというのがメリットですが、筋腫の大きさが3cm以上、10cm以下で、一度に治療できるのが3個まで、過去に開腹手術を受けて皮膚に傷がある場合や皮下脂肪が2cm以上ある場合はダメ、など適応の範囲がかなり限られているため、受診しても適応対象外となる人がかなり多いようです。筋腫も消滅するわけではなく、ある程度サイズが縮小するだけですが、8割ほどの患者で月経痛・過多月経などの症状の改善が見られるそうです。ただ、UAEとは違って特定の筋腫だけを狙って処置する治療ですので、多発性筋腫の場合は、そのときに処置対象にならなかった1〜2cmの筋腫が、大きくなって症状を引き起こす可能性があります。 この術式も保険診療が認められておらず、特殊な装置を必要とするため、実施施設はUAEよりさらに限られています。メスが入らない、入院もいらないということで、いいこと尽くしのように思う方も多いですが、どんな治療法にもメリットとデメリットがあります。最新の治療法というのは長期的な影響についての情報が最も少ない治療法でもある、ということを念頭におきながら、自分に合った治療法を選択してください。 |
病変の除去・焼灼および癒着剥離 |
チョコレート嚢胞核出術 |
アルコール固定 |
片側卵巣摘出術 |
子宮全摘+両卵巣摘出 |
<婦人科内視鏡手術について> |
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子宮鏡下手術 子宮鏡は腟から電気ループやレーザーメスがついた小さなカメラを子宮の中に差し入れて、粘膜下筋腫やポリープを切除するのに使われます。お腹にメスを入れず、部分麻酔で済むという意味では、手術の中で一番からだへの負担が少なく、回復も早い術式だと言えます。但し、子宮鏡は子宮の内側に病巣がある場合にのみ有効で、筋層内筋腫や漿膜下筋腫、腹腔内や卵巣の内膜症病変などの治療には使えません。また、大きさによっては、粘膜下筋腫であっても子宮鏡で核出するのが難しいこともあります。 |
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腹腔鏡下手術 腹腔鏡というのは、おへその周辺に3〜4箇所の小さな穴を開けて、カメラやメス、鉗子を差し入れて、お腹を開くことなく手術を行なうための道具です。婦人科では卵巣嚢腫の核出術や、卵巣の摘出、内膜症の癒着剥離や病巣焼灼に使われることが多いようです。筋腫の核出術にも使えますが、筋腫の数、大きさ、できている位置によっては、適応にならないこともあります。筋腫が大きい場合、小さな穴から出すために、お腹の中で細かく砕かなければなりませんし、筋腫を取った後の子宮の傷を縫い合わせるときも、モニターを見ながら遠隔操作で行ないますので、開腹手術に比べかなり時間がかかります。 腹腔鏡下手術は全身麻酔下で行われますので、時間が長くなるとそれだけからだへの負担やリスクも大きくなります。時間を短縮するために、お腹に開けた穴の1つを少し広めに切り拡げ、そこから筋腫を引っ張り出したり、直接目で見ながら縫合したりする、 LAM(laparoscopically-assisted myomectomy 腹腔鏡併用核出術) という術式もあります。通常の開腹術より傷口は小さく、癒着などのリスクは少なくなると言われています。 子宮全摘にも腹腔鏡を使うことができますが、筋腫の場合と同じで小さな穴から子宮を取り出すのは大変ですから、腹腔鏡は癒着をはがしたり、靭帯などを切り離したりするのに使い、子宮そのものは腟から取り出す、 LAVH(laparoscopically-assisted vaginal hysterectomy=腹腔鏡併用腟式全摘術) という方法が一般的です。 治療の効果という意味で開腹手術と比較すると、確かに開腹の方が腹腔内を直接目で見、手で触ることができますから、小さな筋腫の芽ももらさず取り、また取った傷痕をより丁寧に縫合することができます。しかし、術後の癒着のリスクは、腹腔鏡下手術のほうが、外気やガーゼなどに触れることの多い開腹手術に比べて少ないはずで、一長一短です。 婦人科で内視鏡手術が普及し始めてまだ10年足らずですから、術者の腕にもかなりの違いがあります。過去に開腹手術をしていたり、内膜症が進行していたりして、腹腔内の癒着が激しい場合は腹腔鏡では手術できない、といわれることがよくありますが、これは術者の腕によるようです。筋腫の大きさや位置についても同様で、1つの病院で腹腔鏡はムリ、といわれても、他の病院ではOKということもありますので、なるべく症例数が多く、内視鏡手術に慣れた医師がいる病院を選ぶことをお勧めします。 |