たんぽぽロゴ 10.筋腫・内膜症といわれて
頭の中が真っ白になっているあなたへ

自己決定までのフローチャート(2002年12月改訂)


これまで産婦人科にかかったこともなく、意を決して病院に出かけたら、筋腫・内膜症といわれて頭の中が真っ白になってしまった…。ひょっとして、そのなかでワラをもつかむ思いで「たんぽぽ」のホームページにたどりついた方もおられるのではないでしょうか?でも、今後の治療法を決定していくのはあなたです。このページは、そうした、「私は一体どうしたらいいの?!」とパニックしてしまった方のために、「自己決定までのフローチャート」をご紹介するページです。

最近「患者の自己決定」という言葉をよく耳にしますが、医師と患者じゃ知識や情報の量だって違うし、どうやって自分で決定すればいいのよ?と悩んでしまいますよね。でもやはり自分のからだに対して行なう治療に関しては、自分でちゃんと理解し納得した上で行なわないと、結局不安や不信感が残って、なかなか症状の解決に至らないこともあります。保存的な手術やホルモン療法などもありますが、卵巣の働きが続いている限りはいつか再発する可能性もあるので、子宮を残して治療していく場合は、一種の慢性病として受け止め、気長につきあっていく姿勢が必要です。また、まったく自覚症状がないのであれば、経過観察で様子をみるだけにとどめることもできます。そういう意味でも、自分の病気についてよく知り、「お医者さんになんとかしてもらおう」と他人任せにするのではなく、自分のからだときちんと向き合っていくことが大切です。だから、今は「頭の中真っ白」のあなたも、まず深呼吸をして心を落ち着かせ、「自己決定」に向けての第一歩を踏み出してください。

まず始めに、一旦頭の中を整理しましょう。ここではステップbyステップでご説明しますが、全体の流れについてはフローチャート(←ここをクリックしてください)をご覧下さい。

(1) まず診断名をきちんと覚える
==>聞いただけで覚えにくいときは、医師に頼んで自分のメモ帳などに書いてもらおう

(2) その診断はどうやって得られたのか確認する
==>どんな検査をもとに医師が診断を下したか、聞いておこう

◆内診…子宮のおおよその大きさや硬さ、癒着の有無などがわかる 

◆超音波(エコー)検査…お腹の上からプローブ(探査子)を当てて子宮の全体像を写し出す経腹エコーと、膣にプローブを入れて子宮や卵巣の細部の像を捉える経腟エコーがある

◆MRI検査…磁気を使ってからだの断面像を捉える。筋腫や卵巣などの状態がかなりよくわかるが、癒着の有無はわからない(X線を使ったCT検査でも断面像が得られるが、MRIほど精密な画像が得られない)

◆血液検査…貧血の指標となる血色素値、内膜症や腺筋症の診断に必要な腫瘍マーカーなど

◆子宮卵管造影検査…腟から造影剤を入れて子宮内腔の変形や卵管の通りを確認する(不妊検査によく使われる)

◆子宮鏡検査…腟から先端に直径3ミリ程のカメラの付いたやわらかい管を入れて粘膜下筋腫など子宮内部の病変を観察する

◆腹腔鏡検査…お腹に開けた小さな穴からカメラを入れて子宮や卵巣を観察、内膜症病変や癒着を確認して同時に取り除く。この検査をしないと内膜症の確定診断は得られない

(3) 患部の場所、大きさ、数、種類について知る
==>治療方針を決めるために必要な情報なので、把握しておこう

◆筋腫ならいくつあるのか? どこに(子宮の外側・子宮の筋層の中・内側、子宮の奥・入り口など)あるのか? どのくらいの大きさか? 

◆卵巣嚢腫なら左右どちらの卵巣か? それぞれの大きさは? 嚢胞の内容物は何と思われるのか? 悪性の可能性はあるのか? 

◆内膜症の腹膜病変や癒着はどの辺にあるのか? 進行度はどのくらいか?

        ◆腺筋症ならどういうタイプか(全体に広がっているのか一部分だけか)? 子宮の大きさは?

(4) 医師が提示した治療方針を十分に理解する
==>複数の治療法、それぞれのメリット・デメリットなど理解しておこう

◆医師の提示した治療法はどういうものだったか?

◆医師は複数の治療法を提示したか?(一つだったら、他にはないのか聞いてみよう)

◆医師はそれぞれの治療法のメリット・デメリットを説明したか? (説明が無かったのなら次回行ったときに聞いてみよう)

◆なぜそういう治療法を勧めるか理由の説明はあったか? (不充分な説明だったら、納得できるまで聞いてみよう)

 

まずはここまでちゃんと把握することが第一歩です。

特に(1)〜(3)についてきちんと理解していることが大切です。筋腫や内膜症は良性疾患で、命に関わることではありませんから焦る必要はありません。「情報の整理」ができていないと、この段階で焦ってセカンドオピニオンを取りに行っても無駄なことが多いのです。

医師にいろいろ質問するのは勇気の要ることですが、前もって質問メモを作って医師に渡しましょう。答えは必ずメモを取り、その場で取り切れずにわからなくなっても、大事なことならあきらめずに看護師や受付の人に頼んで確認してもらいましょう。自分の身体のことについて十分に理解して医療を受ける、それはごく当たり前のことですし、医療側から見ても理想的なことです。

診断名と治療の方針、その根拠についてもしっかり理解できたら、次のステップへ進みます。もし何度も確認したのに、十分な答えを得られないのであれば、あなたのニーズにその医師は合っていないわけですから、そのときは病院を替えることを検討しましょう。こうして、からだについての情報の整理ができたら、次に自分の心の整理です。

(5) 自分自身の知識や情報についてもう一度見なおす
==>本やインターネットで知識を増やして不安を減らそう

◆この病気について、自分には十分な知識があると思うか?

◆まだ分からないことがたくさんあると感じるか?

だったら勉強しましょう。このホームページの「1.子宮筋腫・内膜症ってどんな病気?」を見ればある程度はわかりますし、さらに「情報源」のページに紹介されている参考文献やリンク先も見てみましょう。

(6) 自分がどうしたいのか、自分の気持ちを整理する
==>問題の優先順位を考えてみよう(自分の中の小さな声にも耳を傾けて)

◆症状はどのくらい深刻か? (経過観察はできるのか? 生活の質の改善が必要か?)

◆この先の人生設計はどうなのか?(妊娠・出産を希望しているのか? いつ頃したいのか?)

◆手術・ホルモン療法・漢方療法・経過観察、イヤと思うものについてはなぜそう思うのか?

◆今かかっている医師に信頼感が持てるか? どんなことが不安か?

 

これで「自己決定」に必要最小限の情報は揃いました。

この段階まで来たら、電話相談を利用するにしても、セカンドオピニオンを取るにしても、パニック状態のときよりずっと効率よく、納得のいく情報が得られるようになるでしょう。 もうこの段階で、集めた情報と自分の気持ちの整理がついて、すぐに自己決定に踏み出せる人もいるのではないかと思います。

でも自分の気持ちの整理というのが、一人で考えているだけではなかなかつかない人もいます。今はこう感じているけど実際にその場になったらどうなんだろう、とか。そういう人は次のステップに進んで下さい。

(7)体験者と話し合う、あるいは同じ悩みを持つ人と話し合う
==>自助グループなどを活用して複数の人の話を聞こう

◆他の人と話し合いを重ねて行くうちに、自分の方向性がだんだん見えてきます。

◆ぜひ一度たんぽぽのおしゃべり会に参加してみてください。遠方だとか休みが取れないという人には、メーリングリスト「オンラインたんぽぽ」もあります(但し利用は会員のみ)。

自己決定へのプロセスにおいては、体験者の話や同じ悩みを持っている人との会話が大きな役割を果たします。医学的な知識も重要ですが、医学書はあくまでも“臓器に関する医学的な事実”の集積です。しかし、たんぽぽのような体験者による自助グループは、“一人一人の女性の人生”の集積です。その人が何に悩み、どう考えて、何を選び取ってきたか。別にその人のまねをするというのではなく、世の中に自分と同じ悩みを抱えている人がこれだけたくさんいる、同じように迷っているということを知るだけでも気持ちがぐんと軽くなるはずです。きっと、病院に行った最初の日に感じた「あ〜、どうして病気になんかなっちゃったんだろう?」という気持ちが、「自分の身体のことがすごく良く分かるようになって、人にも優しくなれて、なんだか成長したみたい!」という気持ちに取って代わっていると思います。

さあ、元気を出して、自己決定への第一歩を踏み出してください。