筋腫ガイドライン用語集
(この用語集はたんぽぽスタッフが作ったものを、沖縄県立宮古病院女性相談室の涌谷桐子さん(産婦人科医)に監修していただきました。)
子宮平滑筋腫 〜 子宮筋腫のこと。平滑筋腫とは平滑筋由来の良性腫瘍で、子宮にもっともできやすいが、胃などの消化管や皮膚にできることもある。
MEDLINEおよびPubMed 〜 MEDLINEとはNLM (アメリカ国立医学図書館)によるオンライン医学文献データベースで、世界約70ヵ国、約4,600誌以上の文献の情報を収録。PubMedはMEDLINEデータベースの無料検索サービス。
コクラン・データベース 〜 世界中の臨床試験を収集し、質的な評価を行って、統計学的に統合して、解釈を加えて、医療提供者や政策決定者、患者に届け、合理的な意思決定に供することを目的に作られたデータベース。
筋腫融解術 〜
熱を加えたり、血流を断絶したりして、筋腫自体を変性させるような術式の総称。こんにちの日本では、集束超音波療法と血管カテーテル(体内に挿入して、検査や治療などを行うための柔らかい細い管)による子宮動脈塞栓術がそれに当たる。
子宮動脈閉塞術 〜
ここでは、血管カテーテルによる塞栓(細かい粒子状の物質を血管内に流し込んで血流を妨げること)に限らず、腹腔鏡下もしくは経膣的に子宮動脈を血管クリップなどを用いて血管を閉塞する術式も含んでいる。
子宮動脈塞栓術 〜
足の付け根からカテーテルを動脈に入れて、血管造影しながら子宮動脈に細かい粒子状の塞栓物質を送り込み、子宮筋腫への血流を遮断して筋腫を枯死させる療法で、日本では1990年代末から広がった。現在、国内で行われている動脈閉塞術は主にこの術式である。
子宮平滑筋肉腫 〜
子宮肉腫のこと。平滑筋由来の悪性腫瘍で、筋腫とは違って極めて悪性度の高い病気だが、発症頻度は非常に低い(筋腫の100分の1以下)。
エビデンス 〜 特定の医療行為が正当なものであることを示す科学的な根拠。医療行為の根拠となる研究論文をさすこともある。
子宮内膜掻爬術(D&C) 〜 子宮頸管を金属棒などの器具で広げ、細長いスプーン状の鋭利な器具(キューレット)を子宮内に入れて子宮内容を取り除く方法。中絶、流産後の処置や子宮内膜検査等で行なわれる。
ホルモン補充療法 〜 更年期に入って卵巣機能が低下し、女性ホルモンの分泌が衰えてくることによって生じる症状を緩和するために、エストロゲンとプロゲスチン(黄体ホルモン)、あるいはエストロゲン単体を補充する治療法。
無作為割付された比較試験 〜 ある治療(または検査)AとB(Bはプラセボでもよい)を比べてどちらがより有効かを知るために、被験者をくじ引きで(ランダム化)2つのグループに分け、片方にA、もう片方にBを実施して、その効果を比較するような研究のこと。RCTとも言う。
無作為化されていないが、適切にデザインされた比較試験 〜 被験者の割付はくじ引きでなくてもよいが、それ以外の条件は比較する2つのグループ間で偏りが生じないように十分に配慮して計画された比較試験。
コホート(前向きまたは後ろ向き)研究 〜 特定の薬の影響や病気の原因を明らかにするために、大きな集団をたとえばある薬を飲んでいるグループと飲んでいないグループに分けて、比較分析するような研究。前向き研究とは、たとえば病気になる前から、集団の構成員の生活習慣や健康状態などを調査して、その後一定期間追跡調査を行なって、ある病気にかかった人々とかからなかった人々を比較して、その原因を探るような研究。ここでいう後ろ向き研究とは、たとえば過去にある薬を使用したことがわかっているグループとそうでないグループを追跡調査して、薬と健康状態の変化の関連性を調べるような研究のことをさす。
症例対照研究 〜 ケースコントロール研究ともいい、特定の病気にかかった人々を「症例」として選び出し、この症例と性別や年齢などの要因が似たような人々を「対照」として選んで、両グループに対し、過去に遡って病気の原因と考えられる要因(食生活や嗜好品、生活習慣など)について調べて、比較するような研究のこと。
非対照試験 〜 症例対照研究のような性別や年齢などの諸要因の影響を見るための比較対照が行われていない研究。
骨盤痛 〜 ここでは骨盤内の痛み、月経時に限らない下腹部痛のことをさす。
付属器 〜 卵巣や卵管など子宮につながっている臓器のこと。
水腎症 〜 腎臓が尿で拡張した状態で、尿の流れが妨げられ、逆流した尿の圧力が腎臓に加わるために起こる症状。
徐放性注射 〜 特殊なマイクロカプセルに入れた薬品を皮下に注射し、薬剤成分が体内で徐々に放出されるようにしたもの。
トラネキサム酸 〜 プラスミンという血液を溶かす物質の働きを抑えることで、止血作用を発揮する薬。国内ではトランサミン、リカバリンなどの商品名で販売されている。
ケースシリーズ(症例集積)研究 〜 同一疾患の症例を数多く集積したもの
反復流産 〜 2回以上連続して流産した場合。
ヘモグロビン値 〜 全血液中の血色素の量。基準値は男性が1デシリットルのなかに14〜16g、女性では12〜15g程度。
ヘマトクリット値 〜 全血液中の赤血球の容積率。基準値は男性が40〜50%、女性では35〜45%。
灌流液 〜 子宮鏡を実施するときに視野を確保するために、子宮内腔に液体を流し込む。
低ナトリウム血症 〜 灌流液が患者の血管内に吸収されて、血液が薄まってナトリウム濃度が正常の下限を下回って低下した状態。軽症では嘔気や頭痛、重症では意識障害、呼吸不全などの症状が出る。
腹腔鏡下筋腫凝固術 〜
腹腔鏡の下で筋腫に熱を加えて凝固させる手術。現在日本で話題を呼んでいる、集束超音波療法も凝固術の一つだが、これは腹腔鏡下ではなく、MRIを用いて行なわれる。
菌血症 〜 細菌が血液中から検出された場合は菌血症と呼び、細菌の増殖が活発な場合には敗血症と呼ぶ。
抗張力 〜 引っ張り強さ。この場合は妊娠で子宮が大きくなると、子宮壁が引っ張られる。
カラードップラー法 〜 血流状態がカラー表示されるような超音波診断装置。
全血球計算(CBC) 〜
赤血球数、血色素量、ヘマトクリット、白血球およびその分類が同時に測定される。
電解質 〜 血液中に含まれるナトリウム、カリウム、カルシウムといった無機質。
アナフィラキシー反応 〜 アレルギー反応の一種で、血液循環障害や呼吸困難などの急激なショック症状を発し、死に至る場合もある。
PVA (ポリビニルアルコール)粒子 〜 子宮動脈塞栓術で血管をふさぐために用いられる塞栓物質。
支持療法 〜 治療の副作用や合併症を抑え、患者の精力を保持させる目的の治療
敗血症 〜 皮膚や粘膜の傷などの感染巣から細菌が血液中に入り、全身に広がって新たな感染巣をつくる重篤な細菌感染症でショック状態を引き起こすこともある。
子宮筋層内膜炎 〜 感染が原因で起こった子宮内膜の炎症が子宮筋層にまで波及したもの。
子宮留膿腫(症) 〜 子宮腔内貯留物が感染した結果生ずるもの。
筋腫分娩 〜 ここでは粘膜下筋腫がUAE後に子宮腔内に脱落して、それが子宮口を経由して腟のほうに脱出することをさす。
瘻孔 〜
組織の深部の膿瘍(膿[うみ]がたまった部分)から皮膚の表面に通じている穴。
累積妊娠率 〜 不妊治療を繰り返し行って最終的に妊娠する女性の割合。
前向き研究 〜 ここでは、特定の治療を行ったグループに対して追跡調査を行ない、予後に影響する諸要因を明らかにするような研究をさす。
メタ分析 〜 既に発表されている同じテーマに関する臨床研究をまとめて,再度解析して結論を引き出す研究手法。
後向き研究 〜 症例対照研究のこと。
複合HRT(ホルモン補充療法) 〜 ホルモン補充療法のうち、エストロゲンとプロゲストーゲン(黄体ホルモン)の両方を補充する療法。
経皮的エストロゲン製剤 〜 エストロゲンを皮膚から吸収するように肌に貼るパッチ型の薬。皮膚から直接吸収されるために肝臓等にかかる負担が少ないとされる。日本でもエストラダーム、エストラーナ、フェミエストなどの商品名で販売されている。
中央値(メジアン) 〜ある事柄に関する複数個の量を大きさの順に並べたとき、中央に位置する値(平均値とは異なる)。ここでは肉腫が見つかるまでに各症例が症状を経験していた期間を最短から最長まで並べたときに中央に来る値。
血行性転移 〜 悪性腫瘍の細胞が元の病巣から血中に入って離れた組織へ運ばれ、その中で新しい病巣を作ること。肺転移、脳転移、肝転移などが起こる。