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低用量ピルと筋腫の関係について知ろう!


たんぽぽ通信34号(1999/9/30発行)・ピル特集Part1    たんぽぽ通信35号(1999/11/30発行)・ピル特集Part2

たんぽぽ通信36号(2000/1/30発行)・ピル特集Part3     たんぽぽ通信37号(2000/3/30発行)・ピル特集Part4


「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」が改訂されました!

2006年2月1日、日本産科婦人科学会は「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)」(http://www.jsog.or.jp/kaiin/html/announce_01feb2006.html)を発表しました。この改訂の目玉は、ピル処方前の検査の大幅な簡素化、そして月経困難症や子宮内膜症などの症状改善、子宮体がんや卵巣がんのリスク低下といった「副効用」を盛り込んだことです。
この改訂版でも相変わらず、筋腫は「禁忌(使うべきではない)」の対象疾患となったままですが、そこに新たに以下の様な「学会註」が付け加えられました。

(学会註)OC(※経口避妊薬のこと)が子宮筋腫を増悪させるというエビデンスはなく、WHOのガイドラインでも禁忌とはされていない。ここでは、有症状で治療を必要とされる子宮筋腫とするのが妥当であろう。

たんぽぽは、2000年1月に、他の諸団体の賛同を受けて、当時の厚生大臣、日本産科婦人科学会会長、ならびに「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」検討委員会委員長宛てに「ピルが本当に筋腫に悪影響を及ぼすのかどうか、明確な根拠を示して欲しい」とする申し入れを行っています。
今回の改訂で上記のような学会註がついたのは、そうした私たちの質問状に対する回答なのかもしれませんが、註の前段に書かれていること(WHOのガイドラインでも禁忌とされていないということ)は私たちが主張したことをそのままなぞっているだけです。後段の「有症状で治療を必要とされる子宮筋腫」を禁忌とする理由については、エビデンスが示されていません。エビデンスがないのであれば、少なくともなぜそう考えられるのか、何らかの見解を示すべきではないでしょうか。これでは「ガイドライン」というもののありようについて、改めて疑問を抱かざるを得ません。
たんぽぽがこれまで行ってきた「筋腫が低用量ピルの禁忌対象にされていることに関する問題提起」の詳細については以下をご覧ください。

筋腫が低用量ピルの禁忌対象にされていることに関する問題提起(2000年4月)

1999年9月より低用量ピルの処方が始まりましたが、その処方の指針として厚生省から発表されている「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」では、子宮筋腫はピル服用の禁忌対象疾患として指定されています。筋腫や内膜症の体験者の自助グループであるたんぽぽでは、このようなガイドラインの内容について疑問を抱き、情報収集するとともに、厚生省(現・厚生労働省)および関係諸団体に質問状を送付しました。このページの原文はそのときに作成されたもので、それからかなりの時間が経過していますが、ピルと筋腫の関係について、詳しく検討した情報は少ないので、あえてこのページを残しています。ご利用の際には、そのことをご注意ください。また、このページの下の★重要★の項も必ずご覧ください。

「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」は、日本産科婦人科学会、日本母性保護産婦人科医会、日本不妊学会、日本性感染症学会、日本家族計画協会、日本エイズ学会の6団体から出された13人の委員(全員男性)により構成されたガイドライン検討委員会が作成した文書ですが、この6月の中央薬事審議会よりピル承認の答申が出されると同時に厚生省より「情報提供資料」として発表されたものであり、製薬会社が薬に添付する文書の内容にも反映されています。

このガイドラインによりますと、「子宮筋腫」はピル服用の禁忌対象となっています。具体的には「1.服用が禁忌となる場合」の「2.エストロゲン依存性腫瘍(例えば乳癌、子宮体癌、子宮筋腫)、子宮頚癌およびその疑いのある患者」という項目です。

ピルはエストロゲンを含んでいますので、エストロゲン依存性の疾患に何らかの影響を及ぼす可能性がある、というのは的外れな意見ではありません。しかし、1996年にWHOが出した『避妊法使用医学適応基準』では、筋腫は低用量ピルの適応分類の1、つまり「使用に何の制限もつけなくてもよいもの」に分類されています。低用量ピルが盛んに使われているアメリカでも「エストロゲン依存性の新生物」を禁忌としていますが、特に筋腫(uterine leiomyoma, fibroid tumor)を特定してはいませんし、患者向けの説明書でも「ピルを服用してはいけない人」として、「乳房、子宮内膜、子宮頚部、および腟部のがんおよびその疑いのある人」というのはありますが、そこにも「子宮筋腫」という言葉は見当たりません。かつての高用量ピルでは含まれるエストロゲンの量がかなり多かったので、筋腫の急速な増大が認められたこともあったようですが、低用量ピルに関してはそういうデータは出ていません。単発的な症例報告は別として、疫学的に低用量ピルの服用で筋腫が悪化するという統計的なデータはないのです。

6団体が97年に発表した処方ガイドラインの案でも「エストロゲン依存性の癌腫」という表現で乳がんや子宮体がんを禁忌の対象としているのみで、子宮筋腫は禁忌対象どころか「慎重投与(相対禁忌)」の対象にすらなっていませんでした。そのためか、ピル承認前後に相次いで出版されたピル関連書籍には、筋腫を禁忌に含めていないものもたくさんあり、子宮筋腫を持つ女性たちを混乱させています。なぜ、わざわざ「エストロゲン依存性癌腫」という言葉を「エストロゲン依存性の腫瘍」に変更して、良性疾患である「子宮筋腫」を乳がんや子宮体がんと併記する必要があったのでしょうか?

子宮筋腫は、がんとは違って成人女性の2割から3割が持っているというくらい、非常に多く見られる疾患です。つまり、「子宮筋腫」というたった4文字を加えるだけで、2〜3割の生殖年齢の女性がピルの適応対象からはずされるわけです。このガイドラインには法的な拘束力はなく、医師が適当であると判断すれば「自己責任において」使用することは可能ですが、添付文書の「禁忌」の文字を無視して処方するのは容易なことではありません。服用者向けの説明書にも、「子宮筋腫がある人は服用してはいけない」と明記されており、その理由として「腫瘍の悪化・顕在化を促すことがある」と書かれていますから、素人の知識では「筋腫が悪性化してがんになるのでは?」と心配する人が出てくることも懸念されます。

そもそも、ピルには過多月経や月経困難症など月経関連のトラブルを緩和する効果が認められていますので、中用量ピルは「慎重投与」の扱いとはいえ、これまで何十年もの間、筋腫を持つ女性にも治療目的で投与されてきました。ですから、エストロゲンの含有量がより少ない低用量ピルを禁忌にすることは、まったく理屈が通りません。この「禁忌」表示のため、同様のトラブルを抱える筋腫の女性たちは、治療のためにより副作用が少ないといわれる低用量ピルを使いたくても、なかなか処方してもらえないという状況になっています。

この件については、厚生省にも問い合わせましたが、単に「筋腫にはエストロゲンが関与しているという報告があるので慎重論をとった」という返事があっただけで、具体的なデータを提示していただくことはできませんでした。確かに合成エストロゲンや合成プロゲストーゲンが筋腫組織にどのように作用するかということの、詳しいメカニズムは依然として解明されておらず、そういう意味ではピルを、筋腫を持つ女性の避妊法の第1選択とすべきではないかもしれません。しかし、本当にピルが筋腫に悪影響を及ぼすのであれば、国はきちんとしたデータを揃えて警告を出すべきですし、そうでないなら「絶対禁忌」の扱いにするのはおかしいのではないでしょうか?

たんぽぽからは、2000年1月11日付けで丹羽雄哉厚生大臣、青野敏博日本産科婦人科学会会長、ならびに水口弘司「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」検討委員会委員長 宛に、以下の3点について情報提供を要望する質問状をお送りしました。

  1. 低用量ピルが子宮筋腫に与えると思われる悪影響には具体的にどのようなものが考えるられるのか?それに関して疫学的あるいは統計的に十分な信頼性のあるデータは存在するのか?あればご紹介いただきたい。
  2. (1)で上げられているような子宮筋腫に与える悪影響とは、乳がん・子宮体がんと同列に並べて「絶対禁忌」の対象としなくてはならないほど重篤なものだと考えられるのか?「相対禁忌」の扱いではなぜいけないと思われるのか?ご説明をお願いしたい。
  3. 97年時点でのガイドライン案では、子宮筋腫は「相対禁忌」の扱いにすらなっていなかったが、今回の承認に際して、どのような問題点を検討した結果、「絶対禁忌」の欄に含めることになったのか?その経緯をご説明いただきたい。

尚、この質問状には、賛同団体として医療消費者ネットワークMECON、ウィメンズセンター大阪、ウィメンズへルスネット横浜、子宮筋腫体験者自助グループ・秋桜、子宮筋腫・子宮内膜症体験者の会・ひまわり、たんぽぽ大阪、女性の健康を考える会・フィメール、性と健康を考える女性専門家の会、日本子宮内膜症協会の9団体のお名前も挙げさせていただきました。

これに対し、回答を出してきたのは、日本産科婦人科学会だけで、その回答も決して満足のいく内容ではありませんでした(回答原文はピル特集Part4へ)が、わたしたちは学会の「今後前向きに禁忌対象疾患の再検討を行っていきた」いとする回答を受け、しばらく様子をみることにしました。残念ながら、今のところ具体的にガイドラインに変更が加えられたり、筋腫とピルの関係についての詳しい情報提供が行なわれたりした形跡はありませんが、その後、産婦人科医の中からも筋腫を禁忌とする必要はない、という意見がよく聞かれるようになり、実際に内膜症との合併症例に対して慎重投与でピルを処方している医師も現れています。

★重要★ なお、このアピールをご覧になった方の中に、「たんぽぽはピルを筋腫治療に使うことを勧めているのか」と思われる方もおられるようですが、決してそういうことではありません。たんぽぽがこうしたアピールを行なったのは、ピルを「筋腫の治療」に使えるようにして欲しいからではありません。ピルが筋腫に与える影響について、医療関係者にもっと関心を持っていただき、正確な情報に基づいた処方を行なってほしい、というアピールをすることが第一の目的です。また、筋腫は成人女性の2〜3割にあるわけですから、当然、内膜症との合併も多く、(月経痛や排卵痛などの)内膜症由来の症状に悩まされている人にとっては、ピルが使えるかどうか、ということは治療法の選択肢の幅に直接影響します。そういう人たちが、治療法を選択する上で、混乱なく、納得のいく自己決定が下せるよう、情報を提供することが、国や関連諸団体の公的責任ではないか、というのが私たちの主張です。

 この件に関するお問い合わせはtampopo@bcg-j.orgへお願いします。

低用量ピルと筋腫・内膜症などの婦人科疾患との関わりについては、たんぽぽ通信34・35・36・37号(1999年〜2000年)で特集を組んでいます。特集が出てからやや時間も経過して、最新情報ではありませんが、詳しい内容をごらんになりたい方はを「たんぽぽ通信ピル特集」のページへどうぞ。



<LastUpdate:2006/2/24>