特集 「低用量ピル」って何?《Part 2》

使うにしても使わないにしても、私たちはもっと知りたい

(以下はたんぽぽの機関誌『たんぽぽ通信』35号からの転載です。

 ピルの処方が始まってから3ヵ月近くたちましたが、マスコミ報道によると、女性側の積極的な使用希望があまり出てきてないみたいですね。やはり不安感が先に立っているのでしょう。今回皆さんにご協力いただいたアンケートでも、副作用や長期使用の影響に対する不安感が強く出てきました。詳しい集計結果については後半でご紹介したいと思いますが、まずは前号のピル特集で積み残した問題点を、アンケートを通じて寄せられたご質問に添って、Q&Aの形でお答えしていきたいと思います。

 毎度のことで恐縮ですが、素人が調べられる範囲で調べた結果のご報告ですので、もし間違いを発見されましたら、ぜひ事務局までご連絡ください。また、実際に低用量ピルを服用しておられる方の体験記を募集します。この9月から服用を始めた方も3周期目に入り、使い始めの不快症状もそろそろ落ち着いてくる頃だと思います。「使って良かった」「やっぱり合わなかった」いろんなご意見をお待ちしています。(さくま)

 

Q.中用量ピルと低用量ピルの違いは単に量の違いだけ?
量が少ない分、強い作用を起こす物質が入っているのでは?

 う〜ん、鋭いご質問です。ピルというのがエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲストーゲン(黄体ホルモン)の組み合わさった薬だということは前号でも述べました。でもピルに入っているのは、私たちの体の中で作られる本物のホルモンではなく、それと同じような働きをする合成物質です。ですから、「ピル」と一口に言っても、各々1種類のエストロゲンとプロゲストーゲンの組み合わせではなくて、実はいろんな種類のエストロゲンやプロゲストーゲンが使われているわけです。

 で、今回承認された低用量ピルはエストロゲンが35μg(注)前後のものが主ですが、以前から使われている中用量ピルでは含まれているエストロゲンの量は主に50〜100μgです。プロゲストーゲンのほうもやはり低用量化していて、中用量では0.5〜5.0mgだったものが、低用量では0.15〜1.0mgになっています。これだけ用量を減らしてもなお十分な避妊効果を得られるようにするには、当然ホルモンとしての作用を強力にする必要があります。では、強力になった分だけ危険も増えたのでしょうか?

 あながちそうともいえないと思います。そもそも避妊薬として必要な排卵抑制効果については、中用量ピルにも十分あったのです。その上で、何のために製薬会社がより強力なホルモンの開発にしのぎを削ってきたかというと、使うホルモンの総量を減らすことで、主目的の避妊効果以外の困った作用、つまり血栓症や肝機能障害、動脈硬化といった危険な副作用、さらにはニキビや体重増加、頭痛や吐き気といった不快症状を少しでも減らすためです。ですから単純に「強力だから危険」とはいえないと思います。

 ただ、古くから使われている薬については既に蓄積された情報がありますから、ある程度安全性を確認できますが、新しい薬というのは古い薬の欠点をカバーするために作られてはいるものの、使用された期間が短いので、何年か経ってから予想していなかった副作用が発見されるということもあり得るわけです。ですから、もしピルを使おうというときには、そのピルの中に含まれている合成ホルモンがどんな種類のものかを知っておくことは、選択の重要なポイントになります。(注)μg=マイクログラム。mgの1000分の1の単位。

 

Q.ピルにはどんな種類があるのか?効き目はどれも同じなのか?

 今回承認された低用量ピルでは、エストロゲンに関してはどれもエチニルエストラジオールという物質が使われていますが、プロゲストーゲンのほうはピルによって使われている合成ホルモンが、ノルエチステロン、レボノルゲストレル、デゾゲストレルと3種類もあって、同じホルモンでも使われている量が異なる製品があります。3番目のデゾゲストレルを含む製品は承認はされたものの、海外で血栓症のリスクがむしろ中用量ピルより増加するという報告が出たために、厚生省が他のタイプのプロゲストーゲンを含むピルが使えない(体に合わない)場合に限って使うように、という警告を出しました。そのせいかこの製品は現在発売が見合わせられています。デゾゲストレルは第3世代プロゲストーゲンと呼ばれ、この3つの中では最も新しく開発されたものです。ですから、第1世代のプロゲストーゲンであるノルエチステロンがすでに40年近く使用されてきて、ある程度長期使用についても安全性が確認されているのに比較すると、まだデータが十分に蓄積されてはいません。その後、海外では第3世代プロゲストーゲンの安全性をめぐって、「中用量にくらべてリスクが高くなったとはいえない」「いや、やっぱり危険だ」と議論が続いているようです。だから、「多少用量が多くて倦怠感などの不快症状は強いかもしれないけど、安全性についてのデータが蓄積されているピルが使いたいわ」という人は、ノルエチステロンが入っているピルを使うようにすればいいわけで、「低用量ピル」と十把一からげにして考えないほうがよいだろうと思います。

 さらに、安全性に関するデータ量の違いだけでなく、それぞれの合成プロゲストーゲンに特有の「くせ」のようなものもあります。エストロゲンにしろプロゲストーゲンにしろ性ホルモンは互いによく似た物質ですから、ピルに含まれる合成プロゲストーゲンはプロゲストーゲンとしての作用だけでなく、エストロゲンやアンドロゲン(男性ホルモン)のような作用もわずかながら持っています。ピルの副作用の多くは性ホルモンによって引き起こされている作用ですから、1人1人の女性のホルモンのバランスや、どういう不快症状が出ているかをみることで、その人に合うピルを選ぶことができるのです。

 を参考にしていただきたいのですが、たとえば吐き気・頭痛や経血量の増加、血圧上昇などはエストロゲン依存性の副作用です。また、倦怠感や抑うつ感といった症状はプロゲストーゲン依存性、ニキビや体重増加などはアンドロゲン依存性です。それぞれの合成プロゲストーゲンのホルモン活性を見てみると、レボノルゲストレルはプロゲストーゲン活性がノルエチステロンの5倍あるので、その分用量が少なくてすむわけですが、アンドロゲン活性も約8倍と強くなっています。一方、デゾゲストレルはプロゲストーゲン活性が9倍なのに、アンドロゲン活性は3倍強ですから、ピルとして服用するときに、ニキビや体重増加などの副作用が少ないといわれています。

しかし、筋腫の増大が心配な場合は、なるべくエストロゲン作用が少なく、比較的アンドロゲン作用が強いものを選んだ方がいいといわれていますので、レボノルゲストレル系でエチニルエストラジオールの用量が少ないものが向いているかもしれません。

 もう1つ、ピルの種類で知っておきたいのは、1相性・2相性・3相性という分類です。前号でも触れたので詳しくは説明しませんが、内膜症などで過多月経の対症療法としてピルを飲もうという人にとっては、服用周期の始めはプロゲストーゲンの用量が抑えてある2〜3相性のものより、始めから一定量のプロゲストーゲンを含んでいる1相性のピルの方が子宮内膜の増殖を抑えられるのでよいようです。ただ、薬に対する反応は個人差が大きく、必ずしも前もって予測できるものでもないので、3周期程度使用してみて合わないときは、医師と相談して別の種類に変えるなどして、自分に一番合ったピルを見つけていかれるといいと思います。

表1 ホルモン剤投与によりみられるホルモン依存性の副作用

エストロゲン依存性

吐き気、頭痛、下痢、むくみ、おりものの増加、経血量増加、血圧上昇ほか

プロゲストーゲン依存性

倦怠感、抑うつ感、乳房の張り、月経前緊張症様症状、性欲低下、経血量減少

アンドロゲン依存性

体重増加、ニキビ、性欲亢進、食欲亢進、男性化症状

表2 プロゲストーゲンの生物学的ホルモン活性
(第1世代プロゲストーゲンであるノルエチステロンを基準にすると)

プロゲストーゲン

プロゲストーゲン活性

エストロゲン活性

アンドロゲン活性

ノルエチステロン
(60年代初めに登場)

1.0

1.0

1.0

レボノルゲストレル
(70年代に普及)

5.3

0.0

8.3

デゾゲストレル
(80年代から使用開始)

9.0

0.0

3.4

『低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン』(診断と治療社)の表3・4をもとに作成

 

Q.本当にGnRHアナログに比べて、副作用が少ないのか? 
  英国などで血栓症による死亡例も出ているというのが気になるが…。

 確かに、血栓症やがんのリスク増加といった重篤な副作用は、GnRHアナログでは見られません。かわりに、更年期障害様の不快症状はかなり多く見られます。たとえばリュープリンの添付文書をみると、ほてり、頭痛、めまいなどは5%以上に見られるとありますが、たんぽぽのホルモン薬アンケートでは6割以上がのぼせを経験し、3割以上が頭痛に悩まされています。一方、ピルはからだを偽の妊娠状態にする薬ですから、更年期様症状は当然のことながら余りみられません。国内で実施されたピルの臨床試験では、めまいの発生率は0.2〜1.0%、ほてりは0.2%となっています。

 その代りに、ピルではいわゆる「つわり」の症状である吐き気や乳房の張りなどが多く見られます。この発生率のデータは製品によって大きく異なり、「吐き気」の発生率では1.2〜29.2%、「乳房の張り」では0.1〜20.0%と非常に大きな幅があります。ちなみに「頭痛」に関してはピルでも発生率が高く、3.4〜15.7%となっていますが、多くの症状は「つわり」同様、3周期以降は楽になるみたいですし、GnRHアナログの更年期様症状とは性質が少し違いますので、試してみる価値はあるかもしれません。GnRHアナログは本人に自覚がなくても、骨量が減少するという大きな難点を抱えていますから、長期使用ということを考えれば、ピルも1つの選択肢になりうると思います(もちろん、漢方による対象療法も検討してみてくださいね)。

 

Q.筋腫に対して予防効果はあるのか?
  核出後の再発予防の効果を期待できるか?

 前号で土岐ドクターが寄せてくださったコメントの中に「長期(10年以上)のピル服用で筋腫の発生は『減少する』という報告」というのがありましたね。私もこの夏、核出手術を受けたところで、もしピルが核出後の再発予防に役立つのだとしたら飲んでみたいと思っていたので、いろいろ調べてピルが筋腫を予防すると結論づけた、英国オックスフォード家族計画協会のコーホート研究(異なる条件を持った2つの集団を長期にわたって追跡する調査)を見つけました。これによると、ピルを10年以上飲んでいる女性では、筋腫を発症する率がピルを飲んでいない女性に比べて、約31%低いそうです。

 でも、この研究ではあくまでも服用開始時点で筋腫がなかった人を調べたもので、私のように多発性筋腫を核出して、筋腫の芽がまだ残っているかも知れない人が、ピルで再発を予防できるかどうかの結論は得られませんでした。また80年代の文献ですので、調査対象の女性たちが飲んでいたピルは中用量が主体で、その点でも低用量ピルが再発予防に使えるかどうかはわからないな、という感じです。ちなみに、この論文では、タバコを日に10本吸っている人は吸わない人より筋腫になる率が18%低くなるという結果も出ていましたが、タバコで筋腫を予防しようという人はいませんよね?(いや、いるかな…)

 

●筋腫の禁忌扱いは本当に必要なのか?

 最後に、厚生省が医師向けならびに服用者向け情報提供資料として発表したピル使用ガイドライン(筋腫をピルの禁忌対象として定めているもの)について、もう少し調べたことをご報告します。正式には『経口避妊薬の使用に関するガイドライン』(診断と治療社から出版されています)と呼ばれるこのガイドラインは、日本産科婦人科学会、日本母性保護産婦人科医会、日本不妊学会、日本性感染症学会、日本家族計画協会、日本エイズ学会という6つの団体からの委員によって構成されたガイドライン検討委員会が作成したものです。それを厚生省が「情報提供資料」という形で配布し、製薬会社は添付文書を作る上でそれに従って、筋腫を「禁忌」の項目に入れているわけです。

 しかし、1997年の段階でこの委員会が作成したガイドラインの案では、筋腫は禁忌どころか慎重投与の対象にすらなっていませんでした。産婦人科医や薬剤師の間では、この古いガイドライン(WHOの基準とも欧米の処方の実情とも一致している)を知っていて、承認と共に発表された新しいガイドラインを見て驚いた、と言う人が少なくありません。ピルが承認された6月以降に出版された一般向けのピルのガイドブックにも、古いガイドラインにのっとって、筋腫を禁忌に入れていないものが結構あります。こうした状況をみていると、ピル承認のかなり間際になってから「エストロゲン依存性癌腫(たとえば乳癌・性器癌)」を「エストロゲン依存性腫瘍」に変え、具体例のところに「子宮筋腫」の4文字を加える、という操作が行なわれたのではないかと思われます。時間をかけてきちんと検討がなされたのなら、筋腫を禁忌扱いにする根拠となるデータが厚生省にないはずはありません。

 禁忌の欄に「子宮筋腫」の4文字を入れることで、生殖年齢の女性の2〜3割がピルを使えなく(少なくとも使いにくく)なるということを考えると、「そうまでして女性にピルを使わせたくないの?」と勘ぐりたくもなります。確かに筋腫にとってピルが安全だといいきれるデータが揃っているわけではありませんから、筋腫を持つ女性は避妊法の第1選択としてピルを選ぶのは賢明ではないかもしれません。しかし、すでに治療薬として中用量ピルを使っている人がいることを考えると、命にかかわることもある乳癌や子宮体癌と並べて禁忌扱いにするのは、実にナンセンスです。

 アンケートのほうでも「政府は筋腫とピルの関係について国民に説明する義務がある」と考える人が回答者の96%を占めました。やはり婦人科疾患を持つ私たちとしては、本当に禁忌にしなくてはいけないほど筋腫に「重篤な」影響を与えるのであれば、ぜひとも詳しい情報を知りたくなります。しかし、ピルの特集を組んでいるマスコミを見ても1つとして、筋腫が禁忌になっていることを問題視して取り上げた報道がありません。こうなると、政府ならびに6団体からなるガイドライン検討委員会に説明を求めて、何らかの行動を、たんぽぽとして起こしていかないと、いつまでも曖昧なままになってしまうような気がします。いきなり「糾弾!」というのではなく、とりあえず「ご説明を」という形でアピールを出していきたいと思いますので、なにとぞ会員の皆さんのご理解をいただきたいと思います。

 あ〜、またまた紙面が足りなくなってしまいました。「閉経までの逃げ込み療法に使えるか?」「長期使用とがんとの関係は?」「環境ホルモンとしてどのくらいリスクがあるのか?」「ピルのプラス面をもっと知りたい」「エストロゲンよりプロゲストーゲンの方が筋腫に影響しやすいのか」「粘膜下筋腫にもピルは使えるか」など、まだまだお答えしなくてはいけない質問がたくさんあります。どうか次号までお待ちくださいね。

 なお、安易なピルの使用に警鐘を鳴らす武田玲子ドクターの本が間もなく発売になります(武田玲子・吉田由布子著『ピルの危険な話』<東京書籍、12月発売予定>)。漢方を中心とした診療をされている武田さんの視点には、ピルを生み出した近代西洋医学とは違った独特のものがあります。関心をお持ちの方は、できればこの1冊だけでなく、違った視点で書かれた本(たとえば芦田みどり著『TheピルPill』法研)も併せて読んでみて、1つの大きな社会現象として低用量ピルの問題を考えてみていただけたらいいなと思います。

<参考文献>

・Ross, RK, Pike, MC, Vessey, MP, Bull, D, Yeates, D, & Casagrande, JT. "Risk factors for uterine fibroids: reduced risk associated with oral contraceptives." British Medical Journal Vol. 293, 9 August 1986

・低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン検討委員会(委員長水口弘司)、「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」、1997

 

 

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-==-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

 

「低用量ピルについてのアンケート」集計結果

 

 今回「低用量ピルについてのアンケート」には71名のたんぽぽ会員がご回答くださいました。ありがとうございました。今回のアンケートについてはまず最初にお詫びしないといけないことがあります。アンケート用紙にミスプリントがあり、Q1で「いいえ」と答えた人は本来Q2に進んでいただくべきところを、「Q3にお進みください」となっていたので、「中用量ピルを使ったことはないが、低用量ピルなら使ったことがある」という方の回答が正しく得られないようになってしまいました。中には、Q1に「いいえ」と答えてもQ2にも答えてくださった方もおられましたが、多くの方はQ2を読まずにQ3に進んでしまわれたので、低用量ピルの使用経験に関する数字はデータとして使えません。従ってQ2については、低用量ピルを「現在使用中」あるいは「過去に使用したことがある」と答えてくださった方の内訳だけご報告します。回答してくださった皆さん、ごめんなさいね。

 

●回答者のプロフィール

 年齢、診断名などはグラフ1〜3の通りです。意外にも「現在避妊の必要がある」という方は22名と全体の3分の1以下にとどまり、避妊薬としてよりも治療薬としてのピルに関心を持たれた方が多かったことがおわかりいただけると思います。

 

●中用量ピルの使用経験について

 中用量ピルを使った経験のある人は、19人と全体の約4分の1でした。使用の目的(複数回答可)は、1番多かったのが「治療のため」で11名、「生理をずらすための一時的な使用」と答えた方が8名、「避妊のため」と答えた方は4名と少数派でした。

 治療のために使ったときの診断名は筋腫のみが3名、筋腫と内膜症の併発が1名、内膜症・卵巣嚢腫・月経困難症の併発が1名、月経困難症のみが1名、卵巣機能不全1名、さらに筋腫核出術の術前・術後の使用が4名でした。治療の際の具体的な目的は、「経血量の調節」と「月経痛の緩和」が3名ずつ、ついで「月経周期の調節」「病巣の縮小」「全体的な症状の改善」が2名、「排卵痛の緩和」はゼロでした。「その他」は術前・術後のケアとして使用した4例で、「生理が手術に重ならないようにする」1名、「術後すぐに生理が来ないようにして核出後の薄くなった子宮内膜を元に戻す」2名、「核出後の内膜に傷がついたため、内膜が整うまで4ヵ月間生理を止めた」1名でした。

 しかし、その効果のほどは? というと、治療目的で使用した方で「望んでいた効果が得られた」という方は1名しかいませんでした。この方は現在筋腫の診断を受けておられますが、ピル使用時は「月経困難症」の診断名だったそうです。「毎月28日周期で生理が来るので計画が立てやすく、月経痛もなかった。生理が気にならなくなった。6年間使用したが、体重増加、血圧上昇が少し気になりやめる」とコメントしておられます。あとは、望んでいた効果が「多少得られたが不十分だった」という人が1名、「ほとんど得られなかった」という人が4名、「わからない」が3名。さらに「その他」として、「ピル使用前よりもひどく多量に出血した。初経からの出血の中で、最もその時が出血が多かった。もう絶対使いたくないと思った」「途中でピルが効かなくなり、重い腰痛、腹痛、出血がおこり、ピルの量を倍にした」というコメントがありました。

 一方、「生理をずらすため」に一時的に使った方のうち、それが手術治療の一環としての処方だった3名を除いた、残りの5名は「望んでいた効果が得られた」と答えています。生理を手術日に重ならないように使用した人は「ほとんど効果が得られなかった」と答えており、術後のケアに使った2人は「まだ効果がわからない」とのこと。「避妊のため」に使っていた4名は全員「望んでいた効果が得られた」そうです。これを見ると、月経関連トラブルの解消にはあまり中用量ピルは効果がないような気もします。しかし、回答数が17人と少なく、中用量ピルで辛い思いをした人ほど、ピルに対する思い入れが強くてアンケートに答える可能性が高いことを考えると、実際に「効いた」という方が1人でもおられるのですから、頭から「ピルは効かない」と決めつけることはできません。

 気になる副作用のほうですが、全体で見ると「副作用があった」という人が10人、「なかった」人が9人で、およそ半々です。「生理をずらすための一時的な使用」では副作用が「あった」という人は2名で、「なかった」が6人でしたが、避妊や治療目的である程度長期間使ったと思われる11人では、「あった」が8人、「なかった」が3人と逆転しました。生理が旅行や試験などにぶつからないようにする目的で使った場合は症状の訴えが少ないのですが、これは期間が短いこともあるでしょうが、中には自分が服用したのが「ピル」であることをそのときは知らなかった、という方もおられますので、もともと副作用について気にしていなかったために訴えが少ないのかもしれません。

 具体的な症状としては、「頭痛」が4人、「むくみ」「体重増加」が3人、「吐き気」「倦怠感」「乳房の張り」が2人ずつ、さらに「ニキビ」「おりものの増加」「経血量の増加」「不正出血」「食欲亢進」各1人と続きます。「その他」では、「ピルのせいかどうかわからないが、左足が数日間むくんで、その後左のひざを曲げると痛むようになった」「ほてり、発汗、イライラ、不眠。予想していたよりずっと強い副作用にげんなり。治療の一環としてでなかったらとても使えない、と思った。リュープリンの方がまだマシだった」「経血量減少。6ヵ月めに経血量がほとんど無くなったので、使用を止めました」というものも。血栓症や心筋梗塞など、重篤な副作用の報告はありませんでした。

 症状でこれといって突出したものがないことからもわかるように、薬の効き方は実に人それぞれです。「中用量ピルを飲んだことがあるか」という設問に「いいえ」と答えた人の中にも、「もう23年前、新婚旅行のとき、ちょうど生理にかかりそうだったので病院へ行って薬をもらったが、旅行中ずっと頭がボーッとして倦怠感があり、すごく耳が遠くなった気がし、楽しさ半減でした。今思えばそれがピルだったのかなーと思い、絶対ホルモン薬はやめたほうが良い」と書いた方がおられました。こうした中用量ピルでの経験が、後に聞いている「低用量ピルを使用したいか」という質問に影響しているようです。

 

●低用量ピルの使用経験について

 最初に述べたように、「低用量ピル」の使用経験に関しては、設問のミスプリントのため、有効回答が得られませんでしたが、4名の方がご自身の体験(全員が治療目的での使用です)について情報を寄せてくださっていますので、そちらをご紹介したいと思います。まず、9月2日に低用量ピルの国内発売が開始されてから飲み始めた方が2名おられます。1人は子宮筋腫で、「経血量の調節」「月経周期の調節」「全体的な症状の改善」ならびに「ホルモンバランスの一定化をはかる(筋腫の増大をくい止めることを期待)」といった治療目的で使用しています。もう1人は子宮腺筋症の診断を受け、「経血量の調節」「月経痛の緩和」「月経時以外の腹痛の緩和」を目的として使用しています。

 まだ使い始めて間がないうちのアンケートでしたので、効果についてはまだはっきりしていないようですが、腺筋症の方は「使用し始めて10日余り。今のところ、不快感の方が強く、望んでいた効果はほとんど得られていない」とコメントしておられ、副作用症状として、「吐き気」「経血量の増加」「不正出血」「乳房の張り」を挙げておられます。確かにこれらの副作用は、使い始めの時期に多く見られるもので、大体3周期を超すとだいぶよくなるようですから、まだ結論を出すには早すぎるかもしれませんね。筋腫の方は「頭痛」「下痢」「月経前緊張症様症状」といった症状があったが、「これまでにもよくあることなので、ピルによる副作用かどうかは不明」とのこと。

 次に低用量ピルを「過去に使用したことがある」と答えた2人のうちの1人は、海外在住時に使用されたそうです。この方の場合は、腹腔鏡で内膜症が見つからなかったため月経困難症の診断で「月経痛の緩和」を目的にピルを使われたようですが、期待した効果が得られ、副作用もなかったそうです。もう1人のかたは9月2日以前に国内で使用した、と答えているのですが、「どうやって入手したか」という質問には「9月以降国内医療機関で処方を受けて入手」に丸をつけておられるので、よくわからないのですが、ひょっとすると9月以前に国内の医療機関を通じて入手されたのかもしれません。目的は「経血量の調節」で望んでいた効果が得られ、やはり副作用はなかった、と答えておられます。

 

●低用量ピルを使ってみたいか

 今後「低用量ピルを使ってみたいと思うか」という設問に対し、「思う」と答えた人は12人、「思わない」と答えた人が55人と、使いたい人は少数派です。そもそも「避妊の必要がない」人がサンプル全体の約3分の2を占めているので、ある程度は当然といえます。しかし、「使ってみたい」という12人のうち、避妊目的に使いたいという人は4人、生理をずらすための一時的な使用が2人、治療のために使いたいという人が8人(複数回答可)で、主にピルの「治療薬」としての効果に関心が寄せられていることがわかります。治療の具体的な目的としては、「経血量の調節」が7人でトップ、ついで「月経痛の緩和」が4人、「月経周期の調節」「全体的な症状改善」が各1人と続きます。「その他」1人は「月経時以外の腹痛の緩和」です。グラフ4

 一方、低用量ピルを「使いたいと思わない」理由のトップは、「避妊の必要がない」25人となっていてこれまた当然ですが、それに続く理由は「自分の疾患に悪いと思う」20人で、そう答えた人全員が筋腫を持った人でした。やはり添付文書に「禁忌」と表示されれば誰でも心配になりますよね。次いで「ホルモン薬だから」17人、「血栓症や心筋梗塞などの重い副作用が心配」という人が16人、「不自然だから」が14人、「吐き気や頭痛などの副作用があるから」が13人と、からだへの影響を懸念する人が多いようです。普段からGnRHアナログなどのホルモン薬の副作用でひどい目にあったり、苦しんだ人の話を見聞きしているだけに、「たんぽぽ」会員にはピルに対する慎重派が多いですね。特に中用量ピルで副作用の経験を持つ人は、全員「使いたいと思わない」と答えています。「ピルに限らず、ホルモン剤は使いたくない。人間本来のホルモンの調節機能が損なわれる気がするから」というコメントなどは、「ホルモン薬だから」「不自然だから」と答えた方の気持ちを代表するものではないでしょうか。

 ちなみにホルモン薬を利用することが「不自然かどうか」ということに関連して、ピルの利用を推奨している専門家の中には、今日の女性の人生そのものが「不自然」だ、と指摘する人もいます。昔の女性は20歳前から子どもを産み始め、5人以上の子どもを出産する人が多かったわけですね。妊娠中は無月経ですし、授乳中も月経が止まります。原始時代の女性は一生の間に排卵・月経が40回しかなかったといわれていますが、子どもを1〜2人しか産まない今日の女性は400〜450回も排卵・月経を経験するのだそうです。こんなに何度も月経を迎えること自体がもう既に「自然ではない」というわけです。そういわれると「なるほど」と思ってしまいますが、その一方で当時は数多くの女性が妊娠中や出産時に命を落としていたわけで、そういう状態が「自然で良かった」という人は誰もいません。つまり「自然である」ことをなんでも良しとするのではなく、十分な情報を得た上で本人が納得できる方法で、自分のからだとつきあっていく、ということが大切なのではないでしょうか。

 

●治療薬としてのピル、避妊薬としてのピル

 アンケートの最後のページのQ4〜Q6については、紙面が足りないので単純集計だけをご報告します(グラフ5〜7)。自由記述の内容についてはかなり興味深いご意見もありましたので、また次号でご紹介したいと思います。「低用量ピルの治療薬としての承認と保険適応を望むか」という設問には「望む」と答えた人が63人と圧倒的多数を占めました。「政府は筋腫とピルの関係について国民に説明する義務があると思うか」という質問には68人が「思う」と答え、多くの人が「当然のこと」と述べています。

 しかし、「低用量ピルが『避妊薬』として承認されたことについてどう思うか」という設問の答えは、上記の2つの設問に比べると、回答が分かれました。さすがに「悪いことだと思う」と答えた方はいませんでしたが、「よいことだと思う」と答えた人は約半数の35人にとどまり、「どちらともいえない」が26人、「わからない」も8人と、ピルによる避妊がかなり判断の難しい問題であることを示しています。ピルによる避妊は女性に選択肢を与えるから良いという意見がある一方で、女性ばかりに負担をかけるのではないかという意見もあり、ピルは中絶を減らせるからよいという意見がある一方で、これで安易にセックスをする人が増えて性感染症が広まるのでは? という意見もでるなど、複雑にいろいろな要因が絡み合っていることがわかります。ぜひ次号でじっくり皆さんのご意見に目を通してください。

 

36号・ピル特集Part3に進む

34号の記事に戻る

ピル禁忌に関するアピール文に戻る